ルイーズ湖へ
車輪は、静かに曲がりくねった山道を踏みしめていた。バンフの旅はすでに過去となったが、その余韻は心の奥深くに残っている。私たちはゴールデンへと向かう帰路をたどり、朝霧に包まれた高山と谷間を抜けていった。まるで一幅の水墨画の世界へと足を踏み入れたかのようだった。四月の陽光は淡い金色に輝きながら大地を照らしていたが、厚く積もった雪と氷を溶かすには至らず、この地にはなおも冷たく神秘的な気配が漂っていた。

道端を過ぎると、突然、一群のオオツノヒツジが姿を現した。彼らは野の草花の間を悠然と歩み、まるで山の精霊のようだった。その角は鋭い刃のごとく光を帯び、群れの中でも特に雄々しい一頭が、まるで私たちを待ち受けていたかのように、道の真ん中にどっしりと腰を下ろしていた。その瞬間、私たちは山の脈動を感じ、野に満ちる微かな囁きを聞いた気がした。「帰ったらラムチョップでも食べようか」——そんな冗談が旅仲間の口から飛び出したが、その言葉とは裏腹に、私たちの胸には、彼らに対する畏敬の念が静かに広がっていった。

しばらくすると、前方にそびえ立つキャッスルマウンテンが視界を支配した。それはまるで沈黙する巨人のように、大地と天空の狭間にそそり立っていた。山頂は雲に覆われ、その姿は神秘のベールに包まれている。あの頂の向こうには、一体どのような世界が広がっているのだろうか。私は車を降り、静かにその壮麗な輪郭を見つめた。空と山との境界は霞み、ただ孤高にそびえる峰と、震える私の心だけがこの世界に残されたかのようだった。

曲がりくねった山道をさらに進むと、ついにルイーズ湖へとたどり着いた。湖面には今なお厚い氷が張り詰め、凍てつく高地の寒気が、その水面を厳しく閉ざしていた。バンフやゴールデンがすでに春を迎えているのに対し、ルイーズ湖はあまりにも静かで、まるで人里を遠ざけた氷の姫君のようであった。湖畔の遠くにはフェアモント城がかすかに佇み、かつての繁栄の影を映している。湖の中央には、澄みきった氷が鏡のように広がり、その奥に時間と歴史の囁きを閉じ込めているかのようだった。

恐る恐る氷の上を踏みしめると、そこはこの世のものとは思えぬ、異界への入り口のように感じられた。足を踏み出すごとに、命の儚さと、自然の悠久との間に揺れ動く感覚が胸に満ちていく。氷面には、青く透き通った光が反射し、風に乗せて大地の秘密をそっと囁いている。私はふと、遠い昔の声を聞いたような気がした。そして、この深く静かな呼び声に、いつまでも耳を澄ませていた。

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